自己破産でもなくならない債権とは?

自己破産でもなくならない債権とは?

自己破産をすると、「借金が0になる」と考えられていることが多いですが、本当に完全に0になるのでしょうか?

 

実は、自己破産をしても残る債権があります。それを「非免責債権」と言います。非免責債権については、自己破産後もそのまま残るので、支払をしなければなりません。

 

そこで、どのようなものが非免責債権となるのかについて、知っておく必要があります。

 

今回は、自己破産でもなくならない「非免責債権」について解説します。

 

 

自己破産をすると、基本的に借金がすべてなくなる

自己破産は、借金問題の解決のために非常に有効な解決方法です。自己破産をすると、基本的に借金はすべてなくなるからです。

 

借金を整理するための債務整理手続きには、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4種類があります。この中で、借金を完全に0にしてもらえるのは自己破産のみです。

 

任意整理の場合には、基本的に将来利息をカットしてもらえるだけで、借金の減額はしてもらえません。特定調停も同じです。

 

個人再生の場合には、借金を元本ごと大幅に減額してもらえますが、やはり減額された借金については返済が必要になります。

 

これらに対し、自己破産の場合には借金をなくしてもらえるので、借金問題を根本的に解決することができます。

 

 

非免責債権とは

自己破産をすると借金が0になるので、借金問題を根本的に解決できます。借金だけではなく、未払や家賃や買掛金、損害賠償債務などの各種の債務もなくしてもらうことができます。

 

しかし、自己破産をしても、本当にすべての負債がなくなるわけではありません。

 

自己破産では、裁判所から「免責」という決定をしてもらうことによって負債をなくしてもらう手続きですが、「免責」をしてもらっても、なくならない負債(債権)があります。

 

このように、自己破産をしてもなくならない債権のことを、「非免責債権」と言います。

 

非免責債権については、自己破産をしても残るので、手続き後も支払をしなければなりません。

 

 

非免責債権の種類

自己破産をしても免責の対象にならず、なくならない「非免責債権」には、どのようなものがあるのでしょうか?これについては、破産法253条1項に規定されています。

 

 

租税等の請求権(税金)

これは、破産者の未払の税金のことです。税金だけではなく、健康保険料や年金保険料なども含まれます。

 

たとえば、破産前や破産中に、固定資産税や所得税、住民税、固定資産税などの税金を支払っていなかった場合には、

 

自己破産によっても免責されないので、手続き後にも支払いをする必要があります。

 

健康保険料を滞納している場合にも、市役所などと協議して支払わないと、健康保険を利用できなくなってしまいます。

 

 

悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権

これは、破産者が相手に対して不法行為を行った場合の損害賠償請求権ですが、「悪意をもって」行ったことがポイントになります。

 

悪意とは、積極的に相手を傷つけてやろうという考えです。

 

そこで、たとえば相手を騙してお金をだまし取ったり悪質な名誉毀損や業務妨害行為などを行ったりしたケースでは、非免責債権となって、自己破産後も損害賠償をしなければならない可能性が高いです。

 

これに対して、単なる不貞(不倫)にもとづく損害賠償請求権や、通常の交通事故の損害賠償請求権などについては、自己破産によって免責される可能性が高いです。

 

 

故意又は重大な過失によって加えた人の生命、身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権

これは、故意または重過失によって加えた不法行為の損害賠償請求権のうちでも、人の生命や身体を害するものについての規定です。

 

この場合の損害賠償請求権も、自己破産の免責の対象にならず、破産後も残るので支払いが必要です。

 

具体例としては、相手を傷つけてやろうと思って暴力を加えたケースが典型的です。

 

交通事故の場合、通常のものであれば該当しないことが多いですが、危険運転致死傷が成立するような場合には、

 

この規定に該当して損害賠償債務が免責の対象にならない可能性が高いです。

 

 

養育費や婚姻費用

養育費や婚姻費用、扶養料などの債権についても、自己破産で免責の対象になりません。

 

そこで、養育費を支払っている人が自己破産をしても、養育費の支払を免れることができません。

 

逆に、相手に養育費を支払ってもらっている人の場合、相手が自己破産をしても養育費の支払いは継続して受けることができます。

 

 

雇用関係にもとづく使用人の請求権、使用人の預り金返還請求権

破産者が従業員を使っていた場合、給料の未払があったり預り金を返していなかったりした場合には、それらは非免責債権となります。

 

 

破産者が知って債権者名簿に記載しなかった場合

破産者が、知りながらわざと債権者名簿に載せなかった場合には、その債権者の債権は免責されません。

 

ただし、その債権者が破産手続について知っていた場合にはこの限りではありません。

 

 

罰金など

破産者が刑事事件で罰金などを科されている場合、その罰金などについては破産をしても免責されません。これらについては、随時支払いを行う必要があります。

 

 

非免責債権が残った場合の対処方法

自己破産をしても非免責債権として残ってしまった場合、どのように対処すれば良いのかをご説明します。

 

この場合、債権者と話し合いをして、支払をしていくことが原則ですが、以下で、個別に見てみましょう。

 

 

税金

税金や健康保険料などの滞納のケースでは、対象の税務署や市町村役場と話合いをする必要があります。

 

一括で支払いができないなら、分割払いを認めてもらえるケースもあるので、申し出てみると良いでしょう。

 

放っておくと、差押えなどを受けることになるので、必ず対応する必要があります。

 

 

不法行為に基づく損害賠償請求権

悪意で加えた不法行為にもとづく損害賠償請求権や、相手の身体生命に対して加えた不法行為による損害賠償請求権の場合には、

 

相手と話し合いをして支払をしていくしかありません。支払をしないと、相手から裁判を起こされる可能性もあります。

 

一括払いができないなら、分割払いを認めてもらえるよう交渉しましょう。

 

 

扶養にもとづく請求権

養育費や婚姻費用などの扶養にもとづく請求権を支払えない場合には、これらを減額してもらう手続きが必要です。

 

具体的には、家庭裁判所において、養育費減額調停や婚姻費用減額調停を申し立てて、裁判所で相手と話し合いましょう。

 

相手が納得してくれたら合意で減額ができますし、話合いができない場合には、裁判所が審判によって妥当な金額を決定してくれます。

 

 

使用人の請求権や債権者名簿に記載しなかった債権者の請求権

これらについては、該当する使用人や債権者との間で、話合いによって支払をしていくことが原則です。

 

この場合にも、支払いをしなかったり話合いが成立しなかったりする場合には、相手から裁判を起こされる可能性があります。

 

 

罰金

罰金については、一括納付が原則です。刑事事件を起こした場合には、罰金の納付書が送られているはずなので、これを使って支払をしましょう。

 

支払いができない場合には、その分労役場に留置されて労務をしなければなりません。

 

 

以上のように、自己破産をすると一般的には債務の全額免責が受けられるイメージがありますが、実際には非免責債権として残るものがあります。

 

今後自己破産をしたい場合には、このことをよく覚えておきましょう。

 

自分では、非免責債権に該当するかがわからない問題がある場合には、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

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