自己破産の管財事件と同時廃止とは?

自己破産の管財事件と同時廃止とは?

自己破産をすると、借金を0にしてもらえる、というイメージがありますが、実は自己破産には2種類の手続きがあることをご存知でしょうか?

 

自己破産には、簡単な手続きである同時廃止と複雑な手続きである管財事件があり、

 

どちらの手続きが選択されるかによって、手続きの進み方やかかる費用が全く変わってきます。

 

そこで今回は、自己破産の同時廃止と管財事件の違いについて、解説します。

 

 

自己破産の2種類の手続き

借金がかさんで返済ができなくなったら、自己破産をして借金の返済義務を無くしてもらう方法が効果的です。

 

ただ、自己破産には2種類の手続きがあります。それは、同時廃止と管財事件です。以下で、それぞれについて見てみましょう。

 

 

同時廃止とは

同時廃止とは、破産者に財産がないか、ほとんどない場合に選択される自己破産の手続きです。

 

同時廃止は手続きの流れも簡単ですし、かかる費用も少なく、期間も短いです。

 

また、同時廃止の場合、債務者の財産はなくなりません。

 

管財事件とは

管財事件とは、破産者に一定以上の財産がある場合などに選択される自己破産の手続きです。

 

管財事件は、手続きの流れが複雑ですし、かかる費用は高額になり、期間も長くかかります。

 

また、管財事件が選択されると、破産者の財産はなくなります。

 

 

同時廃止の手続きの流れ

同時廃止の場合、手続きの流れがどのようになるのかを見てみましょう。

 

同時廃止の場合でも管財事件の場合でも、破産手続開始決定が出るまでの手続きは共通です。

 

まずは弁護士に手続を依頼して必要書類を集めて申立の準備を進め、準備が整った時点で弁護士に破産免責の申立をしてもらいます。

 

そして、破産手続開始決定が出たら、同時廃止の場合、すぐに破産手続が廃止されます。

 

このように、破産手続開始決定と同時に廃止されるので、「同時廃止」と言うのです。

 

同時廃止の場合、しばらくして「免責審尋」という手続きが行われます。

 

これは、裁判官と債務者が面談をして裁判官から質問を受ける手続きです。

 

免責審尋の手続きが終了したら、しばらくして免責決定が出ます。同時廃止の場合、申立から免責決定まで、だいたい2〜3ヶ月くらいです。

 

 

管財事件の手続きの流れ

次に、管財事件の手続きの流れを見てみましょう。

 

管財事件の場合には、破産手続開始決定があると、同時に「破産管財人」が選任されます。

 

破産管財人は破産者の財産を預かって現金に換えていきます。そして、債権者に対する配当手続きを行います。

 

この破産管財人による財産の換価と債権者への配当が行われる間、定期的に債権者集会と財産状況報告集会という集会が裁判所で開かれます。

 

これらの集会には、債務者も出頭する必要があります。債権者集会は、だいたい月1回くらいのペースで開催されます。

 

破産管財人による換価と配当の手続きが終了したら、破産手続は終了して廃止されます。

 

すると、しばらくして裁判所から免責決定が下されて、自己破産の手続きが終了します。

 

 

同時廃止は財産がなくならない

同時廃止と管財事件の大きな違いは、同時廃止では財産がなくならないことです。

 

自己破産をするときには、基本的に財産を持ったまま借金をなくしてもらうことはできませんが、自己破産をするとしても最低限持っていても良い金額があります。

 

そこで、その最低限の財産より少ない財産しかなければ、自己破産をしても財産がなくならないのです。

 

そして、同時廃止をするとき、破産者はもともと財産がないかほとんどない人です。

 

つまり、最低限持っていても良い分の財産しか持っていない人のケースで同時廃止が選択されます。

 

そこで、同時廃止をしても財産はなくなりません。

 

自己破産をしてもすべての財産をとられるのではなく、生活に最低限必要な財産は手元に残してもらうことができるのです。

 

 

管財事件は財産がなくなる

それでは、管財事件の場合には、財産がなくなってしまうのでしょうか?

 

これに対する答えはイエスです。

 

管財事件が選択される人は、自己破産をするとき最低限持っていても良い財産を超える資産を持っている人です。

 

そこで、その最低限持っていても良い分を超える分の財産はなくなってしまいます。

 

その財産は、破産管財人に渡して現金化してもらい、債権者に配当されることになります。

 

ただし、管財事件のケースでも、「自由財産」があります。

 

自由財産とは、さきほどから紹介している「自己破産をするときに最低限持っていても良い財産」のことです。

 

よって、管財事件のケースでも、この自由財産については持ったまま破産することができます。

 

結局、同時廃止にしても管財事件にしても、自己破産するときに最低限持っていても良い資産である「自由財産」については失うことはないのです。

 

 

同時廃止・管財事件が選択される基準

次に、同時廃止と管財事件が選択される基準について、説明します。

 

財産額が大きいと管財事件になる

ここで最も大きな基準は、財産があるかどうかということです。

 

先ほど、自由財産を超える部分の財産は換価されて債権者に配当されるという説明をしましたが、

 

この自由財産を超える財産を持っている人の場合には、基本的に管財事件となります。

 

反対に、自由財産の範囲内の財産しかない人の場合には、同時廃止で処理してもらうことができます。

 

自由財産として認められるのは、個別の財産について20万円以下であり、現金であれば99万円以下の金額の財産となります。

 

ただし、財産の総額として99万円を超えることができません。

 

たとえば、預貯金が20万円、生命保険が20万円、現金が50万円だったら財産の総額が90万円なので同時廃止で手続きを進めることができます。

 

そうではなく、預貯金が20万円、生命保険が20万円、現金が80万円の場合、

 

個別の財産は自由財産の範囲内のようですが、財産総額が99万円を超えているので、管財事件となります。

 

そして、99万円を超過する21万円は破産管財人に引き渡し、換価と配当の対象になるので、破産者の手元からは失われます。

 

 

免責不許可事由がある場合にも管財事件になる可能性がある

また、財産がなくても管財事件が選択される可能性があります。

 

それは、免責不許可事由があるケースです。たとえば、程度の酷い浪費やギャンブルがある場合などには、簡単に免責を認めることができません。

 

裁判所が裁量免責をしても良いかどうかを判断するため、破産管財人をつけて破産者を観察してもらう必要があります。

 

そこで、管財事件が選択されて、定期的に管財人による面談が実施されることなどがあります。

 

さらに、自己破産に至る経緯が複雑でわかりにくいケースや、本人申立で破産申立内容が不明確な場合などにも、

 

状況を把握するために管財事件が選択されて、破産管財人がつけられることがあります。

 

 

同時廃止にかかる費用

同時廃止と管財事件とでは、かかる費用も全く異なってきます。

 

まずは、同時廃止にかかる費用を見てみましょう。同時廃止の費用は非常に安いです。

 

まず、裁判所に対する申立時に1500円の収入印紙と官報公告費用の1万円あまりが必要です。あとは数千円の郵便切手が要ります。

 

同時廃止では、弁護士費用も比較的安いです。具体的には、着手金が20万円〜30万円くらいで手続きができます。

 

同時廃止で自己破産をする場合、費用全体として22万円もあればすべての手続きを終えることができます。

 

 

管財事件にかかる費用

次に、管財事件にかかる費用を見てみましょう。

 

管財事件の場合にも、裁判所に納める手数料1500円と、官報公告費用、郵便切手代がかかることは同じです。

 

ただ、それ以外に「管財予納金」が必要です。管財予納金は、破産管財人の報酬に充てられる費用です。

 

管財予納金は、最低でも20万となっており、一括払い刷る必要があります。

 

これを支払わないと破産手続開始決定は出ませんし、破産手続をすすめることができません。

 

そこで、管財事件の場合、最低でも22万円くらいの実費が必要です。

 

さらに、管財事件の場合、弁護士費用も高額になることが多いです。管財事件は同時廃止よりも手間がかかるためです。

 

具体的には、着手金として30万円〜50万円くらいかかります。

 

そこで、自己破産が管財事件になった場合、実費と弁護士費用を合わせると、

 

最低でも52万円、高額な場合には70万円以上の費用がかかってしまう計算になります。

 

そこで、自己破産をするなら、なるべく同時廃止で進めることが出来ると、かかる費用が安くなって負担が軽くなります。

 

 

自己破産をするなら債務整理に強い弁護士に依頼しよう!

以上のように、自己破産をするときには、管財事件よりも同時廃止の方が、いろいろな意味で負担が小さくなります。

 

同時廃止だと、手続きも簡単でかかる期間も短く、費用も安くて済むからです。

 

自己破産をどのような手続きですすめるか、またすすめることができるかについては、自己破産を依頼する弁護士とよく相談して検討する必要があります。

 

同時廃止か管財事件かぎりぎりのラインにいる人は、工夫次第で同時廃止で手続きができる可能性もあります。

 

自己破産を有利に進めるには、債務整理に強い弁護士に相談することが重要です。

 

今、借金問題に悩んでいて自己破産をしたいと思っている人は、一度早めに債務整理に力を入れている弁護士に相談すると良いでしょう。

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